秋月電子通商に
「LCDオシロスコープキット(白抜きLCDタイプ・SMD実装済)06204KPL」 (通販コード:K-04279)
という商品があります。
秋月電子通商で販売されている他のオシロスコープは安くても1.5~3万円以上するのに対し、
これはなんと4,700円(2014/9/18現在)という安さ。
というわけで、これを購入し、組み立て、使用してみました。
合計で約8,000円かかりました。
秋月電子のLCDオシロスコープキットを作ってみるを参照してください。
9VのACアタプタを適切に通電しているコンセントとオシロスコープのDCジャックに接続すると、起動します。
起動するとまずブートローダのバージョンが表示され、次にロゴとファームウェアのバージョンが表示されます。
その後、波形の表示に移行します。
操作は基本的にQuick Referenceの通りですが
また、保存した波形は電源を切っても消えないようです。
試しにRCAジャックに何も指さずに波形を表示してみると、周期約20ms、振幅約0.05Vの波形が観測されました。
簡易プローブをRCAジャックに差し込みます。
差し込んだら、まず赤いワニ口クリップと黒いワニ口クリップを接続し、波形が0Vになっていることを確認します。
0Vになっていなければ接触が悪いので、RCAプラグをいじって調整してください。
確認ができたら、赤いワニ口クリップをMulti Function Terminalに接続します。
今回はオシロスコープ内の波形を観測するので、黒いワニ口クリップ(GND)は接続しなくていいです。
素直に1ms/DIVで見てもみんなやっていてつまらないので、5ms/DIVで見てみました。
10msあたり5回振動しており、きちんと500Hzになっていることがわかります。
手元の音楽プレイヤーの信号を観測してみました。
黒いワニ口クリップをGNDに、赤いワニ口クリップを観測したい信号が流れている場所に接続します。
イヤホンで聞くには耳につけているとうるさい程度まで音量を上げないと、
このオシロスコープで見やすい電圧にはなりませんでした。
ほぼ一瞬で上がり下がりするデジタル信号と違い、複雑な波形を描いています。
ただ、その分解像度が低いのが気になってきます。
このオシロスコープには、シリアル通信により波形画面を転送する機能があります。
これをPCで受信するには、5Vのシリアル通信を送受信できるハードウェアが必要です。
(ロジックの電圧が調べてもわからなくて不安でしたが、TxDの電圧を見ると5Vでした)
今回は、秋月の「FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)」 (通販コード:M-05841)を利用しました。
このシリアル変換ケーブルをそのままオシロスコープのシリアル端子に刺してもおそらく通信できないので、
まずは接続用のケーブルを作ります。
今回は、このような構成にしました。GND同士、TxD端子とRxD端子、RxD端子とTxD端子を接続します。
接続の時に間違えにくいように、不必要なピンも挿せるようにしました。
ケーブルを作成したら、実際に接続して通信を行います。
今回の環境はWindowsなので、日本語UIのTera Termを利用しました。
今回の転送の手順は以下のとおりです。
以下の画像は、実際に保存した画像をGIFに変換したものです。
受信したBMPファイルをImageMagickで読み込むととLengthAndFilesizeDoNotMatchと出てきますが、
画像自体は読み込めているのでまあ大丈夫でしょう。
今までキットに付属していた簡易プローブを使っていましたが、
試しに本物のオシロスコープ用プローブを使ってみました。
使用したのは、秋月で2014/9/18現在1,000円とオシロプローブの中では最安の
「オシロスコープ・プローブ(60MHz)」 (通販コード:M-00239)です。
まず、オシロスコープのRCAジャックに変換コネクタを挿し、そこにプローブのコネクタを挿します。
この時、変換コネクタの突起とプローブのコネクタのへっこみを合わせて挿し、コネクタを90度回して固定します。
プローブの先端の針をMulti Function Terminalに当てると、テスト信号を観測できます。
この時、プローブのスイッチをx1にしておくとオシロスコープでは普通の電圧が表示されますが、
x10にするとオシロスコープでは約10分の1の電圧が表示されるようです。
さて、波形は表示されましたが、微妙に形がおかしいようです。
これはプローブの説明にも書かれている現象なので、調整を行います。
仕様上は1kHzの信号を使わないといけないようですが、めんどくさいのでとりあえずテスト信号(500Hz)を使用します。
1kHzの信号はArduinoのtone関数やPICなどを用いて生成できるはずです。
パソコンのオーディオ出力も試してみましたが、自分の環境では振幅が小さく、信号の位置(電圧)が安定しませんでした。
1x/10xのスイッチの近くにあるダイヤルを回すと波形が変化するので、まっすぐになるようにします。
調整すると、このようになりました。ノイズが乗っていますが、波形は改善しました。
ただ、個人的にはこの針を用いたプローブより、ワニ口クリップの方が使いやすい気がします。
用途に合わせて使い分けできると良さそうですね。
USBシリアルケーブルを通信できる状態で接続すると、当然オシロスコープのGND、シリアル通信のGND、USBのGNDが全て電気的に繋がります。
その結果、観測対象の機器も同じパソコンのUSBから電源を取っている場合、「PICの罠」というサイトで紹介されている「PCオシロの罠」と同じ現象が起こります。
すなわち、観測対象の回路に不用意にプローブのGNDを接続してしまうと、そこと回路のGNDが短絡してしまい、思わぬ動作を引き起こす可能性があります。
対策としては、画面転送の必要が無い場合はシリアルケーブルを外しておく(USBの接続は外さず、オシロスコープとのシリアル通信の接続を外せば良い)ことが考えられます。